膝に痛みを持った人の歩き方を観察すると本人は気づいていませんが体重がかかった側の膝が身体の中心から外側にブレてしまっています。このことを「ラテラルスラスト」と言います。
膝が外にブレてしまうと膝関節の内側に体重がかかり歩いて足が地面に着地する度に膝関節の内側の軟骨に摩耗がおこってしまったり半月板が損傷したり膝の痛みを悪化させる原因となります。
今回の記事では膝の痛みの原因となる歩く時の「ラテラルスラスト」がなぜ起こりその原因を知って膝の痛みの予防に役立つ情報を解説します。
1.ラテラル・スラストの原因とは?
歩く時に、膝が身体の中心から外側にブレてしまうのは、いくつか原因があります。そのなかでも代表的なものがこちらです。
- 猫背
- 体幹の筋力が弱い
- 股関節が硬い
- 大腿部の筋力が弱い
- 足首が硬い
体幹の筋力が弱ければ猫背になり易いというように上記の特徴はお互いに関係しあっています。
また上記の特徴がある人の歩行は通常の歩行に比べて以下の特徴があります。
- 膝が伸びない
- 膝のお皿が外を向いてしまっている
- ベタ足で歩く
歩行時に足を着地し体重が乗った時は膝が伸びていないと膝は不安定な状態となり横にブレてしまいます。また膝はある程度のスピードで歩くことで安定するためベタ足で歩いている人は歩行スピードも遅いことが多いです。
2.対策
ラテラル・スラストを防ぐためには先ず膝を伸ばせるようにならなければいけません、次にしっかりと地面が蹴りだせて歩くスピードが一定以上になるように足首の柔軟性や股関節の柔軟性が必要です、最後に良い姿勢を保ってしっかり体幹の筋肉を使う事です。
2-1.膝を伸ばしやすくするには?
膝を伸ばしやすくするには膝蓋骨(お皿)の可動性が重要になってきます。自分で手のひらで包んでお皿を上下左右斜め方向へ動かすことを日頃から行いましょう。
2-2.股関節、足首の柔軟性
股関節の可動性は、後ろに反らす方に重点を置くほうが良いでしょう、その理由は大腰筋が硬くなり股関節の伸展方向に硬くなっていることが大半だからです。
ストレッチ参考例
2-3.良い姿勢を保ち体幹の筋力を使う
良い姿勢を保つには、体幹の筋力を使って腹圧を保つ事が重要です。
上記の写真は、当院で姿勢をコントロールする際に指導させていただいている内容の一部です。お臍を中心に上下に手を当てて下腹を凹ませることで上下の手が揃うようにします。
そうすることで、お腹の腹圧トレーニングになり自然と姿勢がよくなります。最初は息を止めてしまったり慣れないかもしれませんがなれてくると呼吸も自然にできるようになります。
慣れてきたら、日常の中でも下腹を意識して家事や座っている時も意識してやってみましょう。
3.最後に
膝の痛みは外傷を除いて、長年の身体の使い方の習慣から姿勢、股関節や足首の柔軟性低下、体幹の筋力の弱りからきていることが大半です。生活習慣にも目を向けてそこから改善していくことから始めてはいかがでしょうか。